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怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)
アルボムッレ スマナサーラ サンガ 刊 発売日 2006-07 正しい怒りなどない 2007-09-17 世の中で不快だと感じることは多い。殺人、強盗、競争…など枚挙に暇がないが、ひとつ共通の要素を持っている。「怒り」だ。怒りが人の気分を害することは誰でも経験的に知っている。しかし、怒ることがどれほど悪いことなのかを説明できる人は少ない。そこで、本書は仏教的な見解から怒りへの深い洞察を示してくれる。 まず、スマナサーラ長老は、「幸福の仇敵である怒り」と表現している。人が怒っている時、対象を冷静な判断力をなくしてしまう。その人は相手も怒らせ、傍観者の気分をも害してしまう。つまり、人の心から生まれた怒りはまず自分のからだを燃やし、他人へも飛び火し幸福を奪ってしまう性質を持っているのだ。仏教では怒りを「炎」として表現する。なるほど燃やしてしまう性質は炎と同じだ。ほかのものを巻き込んで燃やせば、さらに火炎の勢いは増すように、怒りの炎も相手の怒りによってエスカレートする。したがって、スマナサーラ長老もおっしゃるように「正しい怒りなど仏教では成り立ちません。どんな怒りでも、正当化することはできません」(p69)なのだ。 本書を読むのに前後して、太平の世をもたらした神様徳川家康を祀る日光東照宮へ行った。そこで見た家康公の遺訓と、本書における怒りの仏教的考察との多くの類似点に驚いた。 「人の一生は重荷を負て、遠き道を行くが如し。急ぐべからず。 不自由を常と思へば、不足なし。 こころに望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし。 堪忍は無事長久の基。 いかりは敵とおもへ。 勝事ばかり知りて、まくることをしらざれば、害其身にいたる。 おのれを責めて人をせむるな。 及ばざるは過ぎたるよりまされり」 両者とも、怒るのは自分が悪い。他人を赦してあげなさい。怒りを容認してはならないという点が一致している。これは実際、太平の世の中を築いてきた者の智慧である。やはり「正しい怒り」はないのだ、ということを諭された思いだ。 さらに詳しい情報はコチラ≫ [PR]たるみ 解消 PR |
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