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格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~
三浦 展 宝島社 刊 発売日 2007-05-19 主体的に考えるために 2007-06-04 「下流社会」の著者が「格差の遺伝」を語った本。親の収入や成績が子どもの学力に関係するか、収入に関係するかを分析している。 そして親が「料理が好きか」「土日に休みが多いか」など生活態度に、問いを拡張し調べている。 レヴィットが「ヤバい経済学」で主張したことを更に詰めた本とも言える。 また、「下流社会」にあったような高踏的な表現は影を潜め、「怠惰な奴はだめだ」ではなく「自分を含めどう努力すべきか」に視点は移っている。 社会学の本を読んだことがある方ならば、データの示す結果の予想はつくだろう。でも、あまり、一般に知られていないことだったりもする。 「親の生活態度」と「子どもの学力」の相関で、「子どもの学力が親の生活態度を規定する(変える)」とは考え難い。 従って比較的データが緻密で相関が認められるこの著作の、著者のデータによる主張「格差の遺伝」は論理的と言えるだろう。 ただ、分析を読んで悲観的になるのは早計だ。データの比率からは傾向があるだけでゼロじゃない。 頭の良さというのは成績というより「主体的に物事を考えられるか」であって、著者が調べている相関のあった事象は、 子どもが主体的に考える環境を提供している事柄と解釈できる。 著者の主張の、会話を増やすことは、親の考えをただ受け入れるのではなく、親を含めた世の中の他人の「多元的な考え方」を考える場なのだから。 著者の「遺伝」への対処策については「?」の点もなくはないが、誰1人として正解を言い切れる問いではないのだから、 その点への批判は幾分差し引いて読むべきだろう。 また、学力があれば即、収入が上がるのか? 収入が上がれば即、幸福なのか? と言う問いは容易に湧くが、 でも学力も収入もないよりあった方が良いのは誰もが認めることだったりもする。 著者の幸福の定義に疑問があったとしても、それは、この本のテーマを超えた部分だ。 様々な疑問の湧くこの本は結論やデーターを、ただ取り入れるためではなく、 子どもや社会を想って、どうしたらよいのかを、主体的に考えて読むことを必要としている本だろう。 そう読むのであれば良書だろう。 「下流社会」には、かなりの批判をしたが、今回「はじめに」を読んで、著者は極めて真摯だと感じた。 努力を闇雲に推奨するのではなく、努力が報われない社会を疑う姿勢には好感が持てる。 素直に他人に薦めたい本だと思う。 さらに詳しい情報はコチラ≫ PR |
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