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生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
福岡 伸一
講談社 刊
発売日 2007-05-18
オススメ度:★★★★



「日本エッセイストクラブ賞」あげてほしい 2007-11-24
『プリオン説はほんとうか?』の著者の新書を本屋で見かけたので購入。文章うまいねぇ。すらすらと楽しく読めた。



内容は、生物学の発展のエピソード、DNAが遺伝情報の担体であること、シャルガフの通則、DNA構造、体内物質が常に置き換わっていること、などの発見の生物学的な解説と発見者の人間模様の紹介が、著者自身のアメリカでの研究生活の思い出のエッセイとともに綴られている。生物学については、必要充分な解説が適切に示されているので、結果だけでなく、なぜそう言えるのかまで分かるのは、著者自身の深い理解がなせる技であると感じられた。



一方、著者の自伝的部分は藤原正彦の『若き数学者のアメリカ』の生物学版という風情がある。自らの研究の解説とそのときの気分の情緒的な描写のバランスが素晴らしい。それに、アメリカの研究者がどのように研究を進めているか、わが方とどこが違うかが垣間みられるのも興味深かった。



ただ、本書が新書として出版されたことに少し違和感を覚えた。生物学の素晴らしい解説書であることは100%認めるが、全体としてはエッセイとしての側面が強いと感じたのだ。文学なら文庫の方がふさわしい。この辺は、私の感じる新書の分類の方が遅れているのかもしれないが。いずれにせよ、本書が「日本エッセイストクラブ賞」をもらったら素晴らしいと思う。


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