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不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ 252)不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ 252)
江副 浩正
中央公論新社 刊
発売日 2007-08
オススメ度:★★★



「三丁目の夕日」と「シムシティ」が共存する街、東京 2007-11-25
 東京の開発は平面レベルで見ればGO WESTから都心回帰って流れなんだろうけど、もうひとつは水平方向から垂直方向へのベクトルの転換だ。耐用年数を超えた旧来型ビルが、どんどん超高層ビルに建て替えられていく。なんか古い例えだけど、六本木、丸の内、汐留、品川って街の様変わりぶりはまるでシムシティだ。川本三郎は、東京は変化が早いからこそノスタルジーの感情が芽生えるといったことを語っているけど、まさにそう。だって、二十歳そこそこの若者にしたって、ヘタしたら中学生くらいの子だって、ものごころついた時分の東京と今の風景は全然違ってたりする訳だからさ。「三丁目の夕日」的なノスタルジーが世代を超えた共感を得ながら、一方ではシムシティ並みのドライさでバンバン、スクラップ&ビルドが繰り返されていく街、それが東京である。

 それにしても、昨今の再開発ってあまりに“経済合理的”過ぎないだろうか?江副さんの躊躇ない語り口にはかなり違和感を持つんだけど。“土地だけは生産できない”って定説に対して江副さんは「埋め立てや規制緩和(容積率、斜線制限、天空率!)で土地は「生産」されている」って章を立てて、昨今の土地の「生産」ぶりを解説してくれる。でも、それって人にとって経済性の高い土地を生産しているのかもしれないけど、自然や文化にとってどうなの?って別視点で考えたら果たして「生産」って言葉で括っていいのだろうか。人が住める土地を「生産」するために、海や山という自然を殺してたりするわけだよね。「生産」した土地を経済的に「消費」し尽くしたら上書きすりゃいいやって発想もあるだろうけど、その土地に根付いた人々が作り出した文化まで消去しちゃっていいのか?街にはカオスってのも必要だよね?ってどうしても思っちゃう。つーか、単純にシオサイトより烏森口のほうが、丸の内より神田界隈のほうが街として面白いってだけのことなんだけど。


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