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医療の限界医療の限界
小松 秀樹
新潮社 刊
発売日 2007-06



医療崩壊はさらに加速度的に進むだろう 2007-06-20
「医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か」に続く小松医師の本。こちらは一般啓蒙書。



「このままではリスクの高い医療を引き受ける医師がいなくなる」ということを医師の立場から主張している。

全体として密度が濃い内容だが、焦点がじゅうぶんに絞られていないので、一般の人には著者のメッセージが届きにくいと思う。



第一章「死生観と医療の不確実性」、第二章「無謬からの脱却」、第三章「医療と司法」、第四章「医療の現場で〜虎ノ門病院での取り組み」、第五章「医療のおける教育、評価、人事」、第六章「公共財と通常財」、第七章「医療崩壊を防げるか」



私は、「医療というのは、モノを買うのと違って、価値と価値の交換に乗らないシステム」と考えている。

医療は、本来は、生命・身体をまもるシステムとしての公共財であるのに、社会全体が、医療現場を知らないまま無責任に発言し、医療システムを改悪している。

また、医療行為の瑣末な一面だけをとらえて、個別の医療労働者が暴力的な攻撃にさらされている。



私自身は、10年以上前にそのような暴力的な現場を離れた。つまり、そのような現場からすでに立ち去った。



今後も日本の医療崩壊は続いていくだろうが、将来、荒廃しつくされた医療環境になってから、記念碑的に小松医師の本が思い出されると思う。


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国家の品格国家の品格
藤原 正彦
アイビーシーパブリッシング 刊
発売日 2007-05



「孤高の日本」「惻隠の情」「もののあわれ」って英語で言えますか? 2007-06-10
既に大ベストセラーですので、内容については解説しませんし、その是非についてここでは評価に入っていないことを断っておきます。このような「英語にしにくい日本語の文章」を英語ネイティブスピーカー(※)が自然な英語に翻訳して、日本語原文と見開き2ページで対比する形で刊行された、というところが★5つなのです。英語に直しにくい日本語(例:『情緒』と『形』の国、懐かしさ...)を如何に英語に翻訳したかをたやすくチェックできるように、そのようなキーワードをボールド体で印刷されているところが良いです。「へぇ、そんな風に簡潔明瞭に言えるんだ」と納得です。こうして読み進めると英語表現力に磨きがかかりそうです。(^-^) また、その段落がどういう内容を論じているかを探しやすいように小見出しがついているので、拾い読みする際に便利です。今後、こういう対訳シリーズの刊行が続くことを祈っています。

こういう《いかにも日本的な内容》を英語で読むなら新渡戸稲造「武士道」や岡倉天心「茶の本」が挙げられますが、この原文は現代人にとって読みやすいとは言いがたく、誰にでもオススメできる訳ではありません。まずは本書で"肩慣らし"(頭慣らし)しておいてから、そういう英文に挑戦されても良いかもしれません。

(※)この翻訳をご担当されたジャイルズ・マリー氏は「日本語をペラペラ話すための13の秘訣―13 secrets for speaking fluent Japanese」という本も出してますね。それだけ日本語に通じているからこそ、このような対訳ができたのだと納得です。


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30歳からはじめる「品格のあるお金持ち」になれる資産形成マニュアル30歳からはじめる「品格のあるお金持ち」になれる資産形成マニュアル
岡本 和久
総合法令出版 刊
発売日 2006-11-23



「自分探しワークブック」・・・参考になりました 2007-01-03
 第1章にある「自分探しワークブック」を正月にゆっくりやってみました。本に従ってやってみると、自分のできることと自分のやりたいことの接点がわかり、自分のするべきことがわかったように思いました。このワークには大変満足しています。

 個々の企業に思いを反映させていく投資も良いと思いますが、ETFとインデックスを中心に行う運用方法は、個別銘柄で痛手を受けた過去を持つ私には向いていると思いました。


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「品格」を磨く本―どんなに美人でも”下品なオンナ”は愛されない 品格ある女性になる65か条「品格」を磨く本―どんなに美人でも”下品なオンナ”は愛されない 品格ある女性になる65か条

主婦と生活社 刊
発売日 2007-06




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生物と無生物のあいだ生物と無生物のあいだ
福岡 伸一
講談社 刊
発売日 2007-05-18



無類に面白く、美しいミステリを思わせる読み心地 2007-06-23
 生物を無生物と隔てているものは何か? 生命とは何か? このテーマの考察を主目的として、DNAの二重ラセン構造による自己複製システム発見の端緒となったことや、動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れとしての生命の本質について触れ、探り、提示していく本書。全く門外漢の私でしたが、実にわくわくさせられる読みごたえがありました。

 洗練された美しい文章のセンス以上に魅力的だったのは、生命のありようの解明に向けて論旨を組み立ててゆくミステリ的な妙味でしたね。そこには、エラリー・クイーンの国名シリーズでの、切れ味鋭く論理的な推理を思い浮かばせるものがあって、頁をめくっていきながら、目を瞠らされる思いがしました。神秘の森の中に分け入って、宝石のきらめきを放つ小石を探してでもいるような、ひそやかな知的探究心を存分に味わうことができました。

 本文の前に、あたかも宝島への地図(もしくは、銀河鉄道の乗車切符)のような具合に掲げられた「プロローグ」の章から、ぐいっと引き寄せられたなあ。おしまいの「エピローグ」の章を読み終えて、心地よい余韻と静かな感動に誘われた一冊。


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